
中小企業は、大企業に比べて経営資源が限られているため、経営力の強化はとても重要です。補助金は、経営力を強化するための資金を調達する有効な手段で、中小企業が経営課題を解決して、競争力を高める手段の一つでもあります。
補助金には、様々な種類があり、その目的も様々です。例えば、生産設備の導入、販路開拓、新商品・新サービスの開発、経営管理の改善など、中小企業の経営課題に応じた補助金が用意されています。
今回ご紹介する新宿区の「経営力強化支援事業補助金」では、各種補助金・給付金等の申請代行や、事業立て直しなどを専門家に相談する経費のほか、ITの導入やデジタル化に係る経費、省エネ等の設備購入に係る経費などが補助されます。補助金を上手に活用して、経営課題を解決するために必要な資金を調達しましょう!
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この記事の目次
全額補助も!新宿区 経営力強化支援事業補助金の概要
新宿区では経営力強化の事業に取り組む中小企業者・個人事業主に対し、事業にかかる経費を最大140万円助成しています。補助の対象となる事業は以下の7つです。
1.経営計画等策定支援(補助率10/10)
2.補助金申請手続き支援(補助率10/10)
3.販売促進・業態転換支援(補助率4/5)
4.インバウンド対応支援(補助率4/5)
5.IT・デジタル対応支援(補助率4/5)
6.設備等購入支援(補助率4/5)
7.展示会等出展支援(補助率4/5)
事業1と2が、補助率10/10です。残りの事業は補助率4/5ですがそれでも非常に高い補助率といえます。
出典:応募要項
補助金額の上限は以下のように定められています。
事業1~4:合計30万円まで
事業5、6:合計80万円まで
事業7:合計30万円まで
※事業1~7の合計:最大140万円
本事業では、事業の補助額の上限に達するまで、複数回の申請ができるため、経営力を強化するのに必要な取り組みを幅広く行うことが可能です。
対象経費、対象外経費は?
7つの補助内容について、それぞれの取り組み事例や対象経費を確認しましょう。1.経営計画等策定支援
行政書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士などの専門家による経営計画や販売計画、人事計画、BCPの策定や、コンサルティング等を依頼した際に係る経費を補助します。
事例 | ・事業の立て直しについて専門家に相談がしたい ・就業規則の見直しを専門家に相談したい |
対象経費 | ・経営計画、人事計画等の策定等、専門家の支援を受けた際の費用 |
対象外経費 | ・継続的な顧問契約料 ・確定申告、決算書等の経常的な業務にて専門家の支援を受けた際の費用 |
2.補助金申請手続き支援
専門家による国や東京都等の各種補助金・給付金等の申請代行等に係る経費を補助します。
事例 | ・補助金の申請に必要な事業計画書の作成を支援してほしい ・補助金の申請代行を専門家に依頼したい |
対象経費 | ・申請に必要な事業計画書等の作成にあたり、専門家の支援を受けた際の費用 ・申請代行手続きにあたり、専門家の支援を受けた際の費用(申請代行手続きは1件につき24,000円まで補助) |
対象外経費 | ・許認可等の申請代行費用 ・実施報告書等にて、具体的な内容がないコンサルティング等の経費 |
3.販売促進・業態転換支援
自社の商品やサービスを宣伝する広告や宣伝等の販売促進に係る経費や、新商品・新サービスの開発等の新分野への業態転換に係る経費を補助します。
事例 | ・ホームページをリニューアルしたい ・新商品のパッケージのデザインをデザイナーに外注したい ・経営者や従業員が、知識習得や資格取得のためにセミナーを受講したい |
対象経費 | ・広告掲載費、ホームページの作成やリニューアルを行う際の制作委託費 ・販売促進及び業態転換に係る外注費、研修費、資料購入費 ・配達に必要な自転車や原動機付自転車の購入費 |
対象外経費 | ・原動機付自転車以外(自動車、オートバイ)の購入費 ・ドメイン費用、サーバー費用、ホームページ作成ツールの利用料 |
4.インバウンド対応支援
看板やメニュー、ホームページの多言語化対応や、店舗の和式トイレの洋式化に係る経費を補助します。
事例 | ・メニューや看板を多言語表示にしたい ・音声自動翻訳機を使いたい ・客用トイレを和式から洋式に変えたい |
対象経費 | ・店舗内外の多言語表示に係る、看板・案内表示等制作委託費 ・多言語ホームページ、パンフレット、メニューの制作委託費 ・店舗のトイレ洋式化に係る設置工事費、撤去工事費、電気設備工事費 |
対象外経費 | ・多言語表示の無い看板及びホームページ等の制作委託費 ・新宿区外の事業所にて利用するものに係る経費 ・店舗のトイレ洋式化に関係のない経費(ドアや窓、換気扇等の工事) |
5.IT・デジタル対応支援
業務効率化等を図るための、IT導入やデジタル化に係る経費を補助します。
事例 | ・POSレジを導入して、購買データを管理したい ・チェック作業等の業務プロセスを自動化(RPA)して効率化したい ・端末を購入して、キャッシュレス決済に対応したい |
対象経費 | ・ソフトウェア購入費 ・クラウドサービス利用料 ・ソフトウェアやクラウドサービス等の導入に伴う、パソコンやタブレット及び周辺機器等の購入費 ※ ・インターネット環境整備に係る経費 |
対象外経費 | ・スマートフォンの購入費 ・ドメイン費用、サーバー費用、ホームページ作成ツールの利用料 ・セキュリティソフト単品での購入費 |
※パソコン、タブレットは1台につき20万円まで補助。パソコンは1事業者につき2台まで申請可能。
6.設備等購入支援
生産性向上及び省エネ等に資する設備等の購入に係る経費を補助します。
事例 | ・食器洗浄機を導入して、業務を効率化したい ・店舗の冷蔵庫を新しいものに更新して、消費電力量を削減したい ・空調設備を新しいものに更新して、消費電力量を削減したい |
対象経費 | ・設備等の購入費、送料、設置工事費用、撤去費用、廃棄費用 |
対象外経費 | ・新宿区環境対策課が実施する「新宿区省エネルギー及び創エネルギー機器等補助制度」の補助対象設備(太陽光発電システム、LED照明、高効率空調設備) ・工事のみの費用 |
7.展示会等出展支援
販路拡大を目的とした展示会・見本市等への出展に係る経費を補助します。
事例 | ・販路拡大のため展示会に出展したい |
対象経費 | ・展示会、見本市等の出展に係る、出展小間料、小間装飾費、オンライン展示会等で使用するコンテンツ制作委託費 |
対象外経費 | ・展示会等終了後も使用できるテーブル、パンフレットスタンド等の備品の購入費 ・過去に出展したことがある展示会等の出展に係る経費 ・自社で企画する展示会等の出展に係る経費 |
新宿区 経営力強化支援事業補助金 対象者
次に対象者を確認します。以下に当てはまる中小企業者・個人事業主が対象です。
【法人の場合】 |
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・本店登記が区内にあり、事業所(営業の本拠)を区内に有している ・法人都民税を滞納していない |
【個人の場合】 |
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・事業所(営業の本拠)を区内に有している ・住民税を滞納していない |
性風俗関連特殊営業を営むものや暴力団関係者、NPO、一般社団法人、医療法人等は対象外です。
新宿区 経営力強化支援事業補助金 申請方法
申請は、補助対象事業の実施および支払いまでを完了してから、必要書類を郵送して行います。本補助金は、各事業の補助額の上限に達するまで複数回の申請が可能で、同一事業の複数回申請も認められています。
申請期間
令和5年4月3日~令和6年3月31日まで(消印有効)
【補助対象期間】
令和5年4月1日~令和6年3月31日(※3月31日までに支払いを完了した事業が対象)
【提出書類】
全事業共通で必要な書類は以下のとおりです。こちらに加えて、事業ごとに必要な添付書類がありますので、詳細は応募要項の12~13ページをご確認ください。
全事業共通で必要な書類 |
経営力強化支援事業補助金交付申請書(所定様式) |
事業実施内容説明(所定様式) |
経費別明細(所定様式) |
領収書のコピー |
支払金口座振替依頼書(所定様式) |
【法人】 ・履歴事項全部証明書 ・直近の法人都民税納税証明書(都税事務所発行) (創業1年未満で法人都民納税証明書が提出できない場合は、代表者の「住民税納税証明書」を提出) 【個人】 ・得税確定申告書(令和4年分)のコピーまたは開業届(税務署に提出したもの)のコピー ・住民税納税証明書(住所地の区市町村発行) |
申請から交付までの流れ
最後に、補助金の申請から口座に振り込まれるまでの流れを確認しましょう。補助金交付までの流れは以下の4ステップです。
1.申請 | 郵送で書類を新宿区に提出 |
2.審査 | 書類審査(2週間程度) |
3.決定 | 交付または不交付の決定(通知送付) |
4.交付 | 指定口座に振り込み |
※本補助金には、事業実施前に補助金を交付する概算払い制度が設けられています。制度の利用を希望する場合は、申請窓口(産業振興課)までお問い合わせください。
まとめ
今回は、新宿区の経営力強化支援事業補助金についてご紹介しました。
「専門家による経営力強化の計画策定やコンサルティングを受けたい」
「生産性を向上させコスト削減を図るための設備を購入したい」
「補助金申請に必要な事業計画書の作成支援を受けたい」
本補助金では、これらすべてが補助の対象になっており、補助額上限に達するまで複数回の申請が可能です。経営計画等策定支援と補助金申請手続き支援は、補助率が10/10と手厚いのも魅力です。
補助金は、中小企業が経営力を強化するための有効な手段です。今回ご紹介したような補助金を使うことで、競争力を高め、企業の成長につなげることができますので、積極的な活用をおすすめします。