リフォーム時に最大200万円補助を受けられる先進的窓リノベ2024事業とは？

断熱窓への改修を促進する「先進的窓リノベ事業」は令和5年度(2023年)補正予算に 1,350億円が計上され、年末には先進的窓リノベ2024事業のホームページがオープンしました。本記事では先進的窓リノベ2024事業の概要や補助金額、注意点などをお伝えします。

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窓をリフォームすると電気代節約？

寒い冬、暖房費の高さに悩まされたことはありませんか？家全体の熱損失の多くが、窓からと言われています。そこでおすすめなのが、窓のリフォームです。断熱性能の高いガラスへの交換や内窓の設置などにより、暖房効率を大幅に向上させ、電気代を節約することができます。

出典：先進的窓リノベ2024事業 省エネ効果説明用チラシより抜粋

断熱ガラスは、空気層を設けることで熱伝導を抑え、室内の暖気を逃がしにくくします。内窓を設置すると、さらに断熱効果を高め、結露の発生を抑制し、騒音も軽減することができます。窓リフォームは、初期費用がかかりますが、長期的な視点で見ると、電気代節約効果や快適な生活環境の維持によるメリットが十分に期待できます。

窓リフォームで利用できる補助金・助成金

このように、窓のリフォームは断熱性を高めることで冬は暖かく、夏は涼しく保つことができるため、省エネ効果が期待できます。窓リフォームをサポートするため、様々な支援制度が設けられています。

【全国】先進的窓リノベ事業
「先進的窓リノベ2024事業」は、断熱窓の導入により家庭の省エネ化を促進します。窓（ガラス・サッシ）やドアの断熱改修工事が対象です。補助額は工事内容に応じた定額制で、補助対象となる建材は熱貫流率（Uw値）が1.9以下のものや、2030年の建材トップランナー制度の目標水準を超える基準を満たすものが含まれます。
補助上限額	200万円/戸
申請期間	2024（令和6）年3月29日～予算上限に達するまで
https://window-renovation2024.env.go.jp/

【東京都】災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業 既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア・断熱材)
高断熱窓・ドア・断熱材への改修に対して補助を行います。対象経費は、高断熱窓、高断熱ドア及び断熱材の設置に係る材料費及び工事費です。
補助上限額	100万円/戸
補助率	1/3
申請期間	2022年6月22日（水）～2025年3月31日（月）まで
https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/ene_reform

【東京都青梅市】省エネルギー住宅補助金
家庭のエネルギー使用量を削減し、快適な生活環境を確保するために、既存住宅で高断熱窓への改修を行う際の費用の一部を支援します。補助対象経費は、窓及びガラスの本体・部材の購入設置費用です。
補助上限額	10万円/戸
申請期間	2024年4月15日(月)～2025年4月11日(金)まで
https://www.city.ome.tokyo.jp/soshiki/22/67056.html

窓リフォームで使える「先進的窓リノベ事業」とは

ここからは、全国を対象とした先進的窓リノベ事業についてみていきます。先進的窓リノベ事業とは、環境問題への対策として家庭からのCO2排出量削減や省エネルギー性の向上を目的とした事業です。窓の断熱性を高めることで冷暖房費負担を軽減し、エネルギー価格高騰を補助するものとしても期待されています。

住宅省エネ2024キャンペーンでは、このほかに「子育てエコホーム支援事業」、「給湯省エネ2024事業」、「賃貸集合給湯省エネ2024事業」が設置されています。

先進的窓リノベ事業で補助の対象となるのは、2023年11月2日以降に開始した「ガラス交換」「内窓設置」「外窓交換（カバー工法）」「外窓交換 (はつり工法)」のリフォーム工事です。さらに、改修を行う住戸のドア（住宅の外皮部分にある開口部に取り付けられているものに限る）を、窓の改修と同一契約内で断熱性能の高いドアに改修する場合も補助の対象になります。

リフォーム後には、窓の性能が対象住宅の種類に応じて定められた熱貫流率の基準を満たしている必要があります。

窓リフォーム補助金で対象になる工事は？

次の①、②を満たす工事が、補助対象事業となります。

以下に補助対象となるリフォームの種類とその内容をまとめました。

リフォームの種類	内容
a. ガラス交換	既存窓のガラスのみを取り外し、複層ガラス等に交換。既存サッシをそのまま利用。
b. 内窓設置	既存窓の内側に新たに内窓を新設、または既存の内窓を新たな内窓に交換。設置は既存外窓から屋内側へ50cm以内に限る。
c. 外窓交換「カバー工法」	既存窓のガラスを取り外し、既存窓枠の上から新たな窓枠を覆い被せて取り付け、複層ガラス等に交換。
d. 外窓交換「はつり工法」	既存窓のガラスおよび窓枠を取り外し、新たな窓枠を取り付け、複層ガラス等に交換。
e. ドア交換「カバー工法」	既存ドアについて枠を残して取り除き、既存枠の上から新たな枠を取り付け、ドアを交換。
f. ドア交換「はつり工法」	既存ドアを枠ごと取り外し、新たな枠を取り付け、ドアを交換。

対象外となる工事

一方、次のようなリフォーム工事は補助の対象にはなりません。

• 補助事業に要する経費が補助額に満たない工事
• 外気に面していない窓やドアの交換工事（例：内廊下に面する集合住宅のドア交換）
• ドア板の一部を構成するガラスを交換する工事
• ドア交換のみ（ドアに対する内窓設置を含む）を補助対象とする工事
• ドア交換（内窓設置を含む）が窓とは異なる契約で行われる工事
• 住宅以外の目的である建物や区画での工事
• 住宅所有者が設備を購入し、その取付を事業者に依頼する工事
• リース設備の設置工事
• 中古品を使用した工事
• 以前のものより省エネ性能が劣る窓やドアの設置工事
• メーカーの保証外の方法で取り付ける工事（例：はつり工法専用製品をカバー工法で設置する工事）

窓リフォーム補助金でいくらもらえる？補助額・補助率

先進的窓リノベ事業の補助額はリフォーム工事に応じて、住宅のタイプごとに定められています。１戸あたりの補助額の上限額は以下のとおりです。

１戸あたりの上限補助額…200万円

なお、複数回の工事を行う場合でも、1戸あたりの上限額は変わりません。また、合計補助額が5万円以下の場合は申請不可です。

補助金はどうやって受け取る？交付と還元方法について

本補助金は、交付申請を行った窓リノベ事業者（補助事業者）に交付され、以下の2つの方法のいずれかによって、補助事業者から工事発注者に還元されます。

• 補助事業に係る契約代金に充当する方法
• 現金で支払う方法

では、次に住宅タイプごとの補助額単価を見ていきましょう。

窓リフォーム補助金で対象となる建物は？

【戸建住宅・低層集合住宅における補助額】
補助単価は、窓の大きさの区分や改修方法に基づいて定められています。補助単価に施工箇所数を乗じた額が、１つの住宅における合計補助額です。

戸建住宅・低層集合住宅における補助単価は、以下の表を参照してください。

出典：「先進的窓リノベ2024事業に関する説明資料」

補助額の合計は、以下の例のように算出します。

【グレードSS・大のガラス交換を2枚、グレードS・小の内窓設置を行った場合】
①ガラス交換
55,000×2＝11,000
②内窓設置
29,000
合計…139,000円

なお、ガラスの交換は箇所数ではなく、交換するガラスの枚数で計算します。各ガラスのサイズは以下の通りです。

■大
ガラスの面積…1.4平方メートル以上
サッシの面積…2.8平方メートル以上

■中
ガラスの面積…0.8平方メートル以上1.4平方メートル未満
サッシの面積…1.6平方メートル以上2.8平方メートル未満

■小
ガラスの面積…0.1平方メートル以上0.8平方メートル未満
サッシの面積…0.２平方メートル以上1.6平方メートル未満

■極小
ガラスの面積…0.1平方メートル未満
サッシの面積…0.2平方メートル未満

【中高層集合住宅における補助額】
中高層集合住宅における補助単価は、以下の表を参照してください。

出典：「先進的窓リノベ2024事業に関する説明資料」

補助額の合計は、以下の例のように算出します。

【グレードA・大のガラスを1枚、グレードB・大の外窓交換 (カバー工法) 2枚とグレードA・小の外窓交換 (はつり工法) 3枚を行った場合】
①ガラス交換
30,000
②外窓交換(カバー工法)
102,000×2＝204,000
③外窓交換 (はつり工法)
62,000×3＝186,000
合計…420,000円

窓リフォーム補助金はいつまで？

2024年3月29日～予算上限に達するまで

窓リフォームの注意点

先進的窓リノベ事業を利用するには、対応できる事業者かどうかの確認が必要です。また、スケジュールに注意する必要があります。

【事業スケジュール】
リフォーム事業者の事業者登録は、以下の期間に行われます。

■事業者登録の開始
2024年1月中下旬

登録の済んだ事業者は、随時発表されます。契約するリフォーム業者が登録事業者になっているかどうかは、工事を開始する前に確認しましょう。

交付申請時期は、すべての工事の完了後です。期間内に工事が完了しない場合は、補助金の申請はできません。交付申請期間は、以下の通りです。

■交付申請期間
2024年(令和6年)3月中下旬から、遅くとも12月31日まで（予定）

なお、交付申請の締め切りは予算の執行状況に応じて公表されます。

工事着工後には、交付申請を予約することもできます。予約によって、補助金が一定期間確保されます。

交付申請の予約が可能な期間は以下の時期です。

■交付申請予約期間
2024年(令和6年)3月下旬から、遅くとも11月30日（予定）

ただし予約後３ヶ月以内に交付申請が無かった場合、予約は取り消されます。また、予約は着工から交付申請までの期間に予算の確保をするためだけのものです。指定の期間内に交付申請を行わない限り、補助金交付は確定されません。

事業スケジュールの全体像は、以下の図も参考にしてください。

出典：「先進的窓リノベ事業の概要」

先進的窓リノベ事業の申請のポイント

申請時のポイントとして、申し込みの流れや一緒に使える支援策はあるかなどを理解しておきましょう。

先進的窓リノベ事業の申請フロー

先進的窓リノベ事業は、リフォームを行う業者が補助事業者となり、申請を行います。補助金は事業者へ交付されますが、その後、全額住宅所有者等に還元される仕組みです。申請にあたっては、あらかじめリフォーム事業者が還元方法を住宅所有者等に説明し、同意を得る必要があります。

本事業の対象となるために、リフォーム事業者は、所定の手続きによって事前に事業者登録を行います。補助の対象になる工事は、事業者登録後に着手したものだけです。

申請フローについては、以下の図も参考にしてください。

出典：「先進的窓リノベ 2024 事業の詳細」

先進的窓リノベ事業は他の補助金と併用できる？

本事業は住宅省エネ2024キャンペーンとして、「子育てエコホーム支援事業（国土交通省）」、「給湯省エネ2024事業（経済産業省）」および「賃貸集合給湯省エネ2024事業（経済産業省）」と連携し、３省事業における申請のワンストップ対応を予定しています。ワンストップ申請とは、住宅省エネ2024キャンペーンに参加する事業に補助対象が混在するリフォームを行った場合、申請手続きを容易にするため、4事業共通の入力フォームから申請することを言います。これにより、もっとも有利な条件で、各補助金を利用することができます。

ポイントとして、本事業と補助対象が重複する国の他の補助制度との併用はできません。地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です。本事業と一体的に行う４つの事業については、補助対象が重複しない場合は併用可能です。なお、いずれの申請も事業者が行い、工事発注者の手続きはありません。

まとめ

住まいの心地よさは、生活の質を大きく変える要素です。窓の断熱リフォームをすることで室内の気温の調整がしやすくなれば、環境だけでなく、人の暮らしそのものが改善されます。

また、省エネ率の高い住宅は、将来的な光熱費の累計にも影響を及ぼします。窓の断熱リフォームの資金に支援を受けることは、長期的な出費の減少にもつながる選択です。

ぜひこの機会に先進的窓リノベ事業を利用して、地球にも人にも、そして未来にもメリットのある窓の断熱リフォームを検討してみてください。

参考：先進的窓リノベ2024事業