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令和6年(2024年)度予算案を閣議決定。経済成長を加速させるポイントとは?

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▼12月25日更新
※政府は12月22日、令和6年(2024年)度予算案を閣議決定しました。それに伴い、記事内容を更新しました。

経済産業省の令和6年度予算の概算要求では、中小企業対策費に1336億円を計上し、令和5年度当初予算(1090億円)よりも246億円の上乗せとなりました。本記事では、令和6年度概算要求と税制改正要望における「中小企業対策の内容」を確認します。

来年度、経済産業省が中⼩企業・⼩規模事業者・地域経済関係でどのような施策を計画しているのか気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

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この記事の目次

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令和6年(2024年)度当初予算案 閣議決定

政府は、総額が112兆717億円に達する令和6年度(2024年度)の一般会計予算案を12月22日に閣議決定しました。

令和6年度の予算案では、社会保障費が37兆7193億円となり、これは令和5年度の当初予算よりも8506億円増加しています。高齢化による給付の増加、少子化対策の強化、医療従事者の賃上げなどが主な原因で、診療報酬や薬価の引き下げによる効率化にもかかわらず、過去最大の規模となりました。

防衛費は、7兆9172億円に増加し、令和5年度と比べて1兆1292億円の増額です。抜本的な防衛力強化に向けた投資が行われる予定です。また、地方自治体に配分される地方交付税交付金は17兆7863億円で、定額減税による住民税の減収補填を含み、令和5年度よりも1兆3871億円増加しています。

中⼩企業・⼩規模事業者・地域経済関係 予算のポイント

令和6年度と令和5年度の補正予算を合わせた合計額は6502億円(1082億円+5420億円)となりました。中小企業・小規模事業者に対する支援策のポイントは以下のとおりです。

【経営環境の改善に向けた支援策】
物価高や人手不足といった厳しい経営環境に直面している中小企業・小規模事業者に対し、価格転嫁対策、資金繰り支援、省力化投資のための支援を提供します。これにより、事業の持続可能性を高め、経営状況の改善を図ることが目的です。

・日本政策金融公庫補給金:147億円
・中小企業活性化・事業承継総合支援事業:146億円+(補正52億円)
・中小企業省力化投資補助制度:(補正1000億円)など

【成長促進と賃上げへの取り組み】
産業構造の変化、特にグリーン技術(GX)やデジタル変革(DX)に対応して、中小企業・小規模事業者の成長を促進するための予算と税政策を総動員します。これらの支援を通じて、持続的な賃上げにつなげることを目指します。

・成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業):128億円
・地域の中堅・中核企業の経営力向上支援事業:21億円 など

【地域経済の活性化】
事業承継、社会課題解決、工業用水道の整備などを通じて地域経済の活性化を図る支援が行われます。

・小規模事業対策推進等事業:54億円
・地域の社会課題解決企業支援のためのエコシステム構築実証事業:6.0億円
工業用水道事業費:20億円+(補正16億円)など

令和6年(2024年)度予算成立はいつ?

政府は、来年1月に開会する通常国会にて来年度の予算案を提出する予定です。そして、3月末までに成立を目指すとしています。

(参考)令和6年度中小企業対策の⽅向性

まず、基本的な課題認識と対応の⽅向性について、次の3つが示されています。

中⼩企業・⼩規模事業者等に対して物価高や人手不足などの経営難に対処し、資金繰りや省人化投資の支援を強化します。さらに、持続的な賃上げに向けた環境整備を図ります。

GX/DX等の産業構造の変化に伴い、中⼩企業・⼩規模事業者の企業の成長を支えるための政策を全面的に推進します。

さらに、事業承継や地域経済の活性化に関する取り組みも強化します。

また、物価⾼騰下で⽣産性向上に取り組む中⼩企業・⼩規模事業者等の成⻑の下⽀えについては、要求額を明示せず、項目だけ記載する事項要求を行うとしています。

中小企業対策の4つのポイント

次に、上記の課題認識のもと、具体的にどのような取り組みに予算を計上しているのか、またどのような税制改正に関する要望をあげているのかを4つのポイントから探ってみましょう。

1.物価⾼、⼈⼿不⾜等の厳しい経営環境への対応
2.環境変化に挑戦する中⼩企業・⼩規模事業者等の成⻑⽀援
3.事業承継を通じた変⾰の推進
4.社会課題解決をはじめとした地域における取組への⽀援等

1.物価⾼、⼈⼿不⾜等の厳しい経営環境への対応

物価高や人手不足といった経営の課題に対し、価格交渉の適正化を推進し、中小企業・小規模事業者の資金繰りと事業継続をサポートします。さらに、省人化投資の支援や持続的な賃上げのための環境を整える取り組み等に予算を計上しています。※以下、【 】内は令和6年度概算要求額、( )内は前年度当初予算

価格転嫁対策
中⼩企業取引対策事業【36億円(24億円)】 価格交渉促進⽉間や、下請Gメン等による取引実態の把握、下請法の厳正な執⾏、下請かけこみ寺での相談対応等を実施

資⾦繰り⽀援
⽇本政策⾦融公庫補給⾦【151億円(146億円)】 ⽇本政策⾦融公庫からの融資における⾦利を引下げるため、利⼦補給を実施
中⼩企業信⽤補完制度関連補助事業【70億円(35億円)】 信⽤保証制度等を通じた資⾦繰り⽀援を実施。経営者保証の提供を選択できる新制度構築に際し、信⽤保証料補助等を実施
中⼩企業活性化・事業承継総合⽀援事業【223億円(157億円)】 中⼩企業活性化協議会による事業再⽣⽀援、事業承継・引継ぎ⽀援センターによる円滑な事業承継・引継ぎ⽀援等を実施

※さらに、令和4年度補正「中⼩企業等の資⾦繰り⽀援【2981億円】 (財務省計上分212億円含む)により、コロナ借換保証制度、経営者保証を徴求しない創業時の信⽤保証制度を実施。資本性劣後ローンの供給等を継続します。

賃上げ・省⼈化投資⽀援
賃上げ税制の拡充 構造的・持続的な賃上げの実現に向け、⾚字の状況等でも賃上げに取り組む中⼩企業等を対象とした繰越控除措置の創設等
<令和4年度補正等>中⼩企業⽣産性⾰命推進事業【2000億円(令和4年度補正)】 ※ものづくり補助⾦・IT導⼊補助⾦等 設備投資、IT導⼊、販路開拓等への補助を通じ、中⼩企業・⼩規模事業者の⽣産性向上等に向けた取組を⽀援
事業再構築補助⾦【6800億円(令和4年度予備費・補正)】※⼤規模賃⾦引上促進枠、最低賃⾦枠等 ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するための新分野展開、業態転換等の事業再構築に挑戦する中⼩企業等を⽀援

2.環境変化に挑戦する中⼩企業・⼩規模事業者等の成⻑⽀援

環境変化に挑戦する中小企業・小規模事業者の発展支援として、生産性向上や事業再構築のための設備投資をサポートし、GX/DXを含む産業構造の転換を促進します。さらに、新規輸出に挑戦する企業や急成長を目指す中小企業の振興を強化します。

設備投資・新規輸出⽀援等
中⼩企業海外展開総合⽀援事業【中⼩機構交付⾦の内数】 新規に海外市場の獲得を⽬指す中⼩企業・⼩規模事業者等による輸出(越境ECを含むブランディング・プロモーション等)を⽀援
グリーントランスフォーメーション対応⽀援事業【中⼩機構交付⾦の内数】 中⼩機構への相談窓⼝の設置や⽀援機関の⼈材育成等によりカーボンニュートラルに向けた取組を⽀援

<再掲>中⼩企業⽣産性⾰命推進事業【2000億円(令和4年度補正)】※ものづくり補助⾦・IT導⼊補助⾦等
<再掲>事業再構築補助⾦【6800億円(令和4年度予備費・補正)】※成⻑枠、グリーン成⻑枠、産業構造転換枠等

成⻑志向の中堅・中⼩企業に対する⽀援措置の検討(税制)
成⻑志向の中堅・中⼩企業を⽀援すべく、新たな需要獲得等に資する設備投資や規模拡⼤や⾼付加価値化を⽬的としたグループ化等を促進する措置を検討

伴⾛⽀援等
中⼩企業経営⽀援事業【中⼩機構交付⾦の内数】 成⻑志向企業の価値創出や中堅企業への成⻑に向け専⾨家による総合的な課題に対するハンズオン⽀援(伴⾛⽀援)を実施
地域の中堅・中核企業の経営⼒向上⽀援事業【27億円(25億円)】 専⾨家・企業間のネットワーク構築や「地域の⼈事部」の取組を⽀援。⼈材活⽤ガイドラインの普及を通じ⼈材の戦略的な活⽤を促進。地域での即戦⼒DX⼈材を育成

研究開発
成⻑型中⼩企業等研究開発⽀援事業(Go-Tech事業)【134億円 (133億円)】 ⼤学等と連携して⾏うものづくり基盤技術及び⾼度なサービスに関する研究開発を⽀援、 「イノベーション・プロデューサー」を通じたイノベーションの創出⽀援

交際費課税等(税制)
交際費の損⾦算⼊の特例措置及び少額減価償却資産の特例措置の延⻑ 中⼩企業の交際費を800万円まで全額損⾦算⼊できる特例措置及び取得価額が30万円未満の減価償却資産を全額損⾦算⼊できる特例措置の延⻑

3.事業承継を通じた変⾰の推進

事業承継を通じた変⾰の推進としては、経営者が高齢化する中で、地域の経済と雇用を保護するために事業承継をスムーズに進め、その過程での企業変革と生産性の向上・成長をサポートするための取り組みに予算を計上しています。

事業承継を通じた変⾰
法⼈版・個⼈版事業承継税制における特例承継計画の提出期限の延⻑等(税制) 事業承継に伴う贈与税・相続税の100%猶予に必要な特例承継計画の提出期限を令和5年度末から延⻑等
中⼩M&A準備⾦税制の延⻑等(税制) 中⼩企業がM&Aを実施する際、株式等の取得価額の70%を損⾦として算⼊する準備⾦税制の延⻑等
後継者⽀援ネットワーク事業【5.5億円(2.1億円)】 後継者同⼠の切磋琢磨できる場を創出し、既存の経営資源を活かした新規事業アイデアを競うイベント開催
中⼩企業活性化・事業承継総合⽀援事業【223億円(157億円)】(再掲) 中⼩企業活性化協議会による事業再⽣⽀援、事業承継・引継ぎ⽀援センターによる円滑な事業承継・引継ぎ⽀援等を実施

<再掲>中⼩企業⽣産性⾰命推進事業【2000億円(令和4年度補正)】※事業承継・引継ぎ補助⾦等により事業承継・M&A後の新たな取組(設備投資、販路開拓等)、M&A時の専⾨家活⽤の取組等を⽀援します。

4.社会課題解決をはじめとした地域における取組への⽀援等

地域における⽀援では、地域の社会課題への取り組みや企業の立地促進のための工業用水道整備を支援し、さまざまな課題を持つ中小企業への伴⾛・経営⽀援を推進するための予算を計上しています。

地域における取組への⽀援等
地域の社会課題解決企業⽀援のためのエコシステム構築実証事業【6.7億円(新規)】 ソーシャルビジネスを⽀援する地域の関係者を中⼼としたエコシステムを構築するため社会課題解決事業モデルを実証する
⼯業⽤⽔道事業費補助⾦ 【47億円(20億円)】 激甚化する災害等への対応のための強靱化や、重要な産業の⽴地に伴う⽔需要への対応のための新設等を進める
中⼩企業・⼩規模事業者ワンストップ総合⽀援事業【52億円(37億円)】
各都道府県によろず⽀援拠点を整備するなど、中⼩企業・⼩規模事業者が抱える様々な経営課題に対応するための体制を整備
⼩規模事業対策推進等事業【54億円(54億円)】 中⼩企業⽀援機関等を通じて⾏われる⼩規模事業者への巡回指導・窓⼝相談などを⽀援
地⽅公共団体による⼩規模事業者⽀援推進事業【13億円(11億円)】 地⽅公共団体と連携し、地域の実情を踏まえた⼩規模事業者の販路開拓・⽣産性向上に向けた取組(含む災害復旧)を⽀援
中⼼市街地・商店街等診断・サポート事業【中⼩機構交付⾦の内数】 変⾰意欲のある商店街等の事業推進体制強化に向け、複数専⾨家による⾯的伴⾛⽀援等を⾏う
地域の中堅・中核企業の経営⼒向上⽀援事業【 27億円(25億円) 】(再掲) 専⾨家・企業間のネットワーク構築や「地域の⼈事部」の取組を⽀援。⼈材活⽤ガイドラインの普及を通じ⼈材の戦略的な活⽤を促進。地域での即戦⼒DX⼈材を育成

まとめ

令和6年度の中小企業対策には、様々な挑戦と変革の時代に立ち向かうための施策が盛り込まれました。物価高や人手不足などの厳しい経営環境下でも、企業が適切な価格転嫁を行い、経営の継続を強力にサポートするための取り組みが強化されます。ほかにも、環境の変化や新たな産業構造への適応にチャレンジする企業の成長を後押しするための予算が計上されています。

また、経営者の高齢化や事業承継の問題にも目を向け、これを機に企業の変革や生産性向上を果たすサポートのための予算も要求しています。さらに、地域経済の振興や社会課題の解決を目指し、地域における企業の取り組みを促進するための伴走・経営支援も重視していることがわかりました。

今回ご紹介した施策は、中小企業や小規模事業者の課題を解決するための国の方向性を示しています。今後の予算成立とともに、これらの施策の進行と成果に注目していきましょう。

出典:令和6年度 中⼩企業・⼩規模事業者・地域経済関係 概算要求等ポイント

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