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令和5年度 デジタル⽥園都市国家構想 地方への人の流れの強化について解説!

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近年、人口減少や少子高齢化によって、地域社会の担い手が不足したり、人口が東京圏へ一極集中したりなどの課題が深刻化しています。そこで国が掲げる「デジタル田園都市国家構想」において、地方への人の流れを強化するための支援策が盛り込まれました。

この支援策を活用すれば、地方の優秀な人材を確保できる可能性があり、企業の生産性向上や働き方改革の促進などが期待できます。都心部に企業を持ち、地方への進出やサテライトオフィス設置などを検討している事業者は、ぜひこの記事を参考にしてください。

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この記事の目次

デジタル田園都市国家構想とは

「デジタル田園都市国家構想」とは、「新しい資本主義」における重要な柱の一つで、デジタルの力を活用して「心豊かな暮らし」と「持続可能な環境・社会・経済」を実現させる構想のことです。多くの地方では、下記のような課題が深刻化しています。

  • 人口減少
  • 少子高齢化
  • 過疎化
  • 東京圏への一極集中
  • 地域産業の空洞化

これらを解決するには、これまでの地方創生による成果を最大限活かしながら、地方活性化を目指す取り組みが求められます。

近年、AIやIoTなどのデジタル技術が急速に発展しています。デジタルは地方の社会課題を解決し、また新たな価値を創出する源として、重要な役割を果たします。よってデジタル技術を活用し、地域が持つ個性や豊かさを活かしつつ、地方の社会問題解決や利便性・魅力にあふれる新たな地域作りなどを図ることが重要です。これらを踏まえ、国ではデジタル田園都市国家構想が目指すべき中長期的な方向性を示し、地方の取り組みを支援するさまざまな計画を進めています。

国が地方への人の流れを強化する理由

東京への一極集中による人口減少や、地方の財政力低下により、地方では下記のような社会問題を抱えています。
人手不足(医療、介護従事者、教員等)
公共施設の過不足、整備・更新コスト
観光客の観光ルート等の動態把握が困難
人口流出による経済・社会の持続性低下
・移住、交流の停滞
・魅力的な雇用先の減少
・観光客や住民の移動困難
・発災時の住民所在確認の困難

地方が抱える課題の具体的な内容

労働力不足 地方の中小企業では既に大多数が人手不足であり、さらに今後高齢化が進むにつれ起きる労働力不足が、地域の企業活動を停滞させる。
経営者の後継者不足 70歳超の中小企業経営者の約半数は、2025年時点における後継者が未定である。これらの中小企業等は多くが黒字であるため、企業消滅により地域経済が縮小する。
働く場所・働き方の多様性が低下 魅力的な働き場所が減少した地方から東京圏へ流出する若者がさらに増加し、少子高齢化が加速する。また、教育機会の提供者が減少し、キャリアアップ・スキルアップに必要な再教育が受けづらくなり、多様な働き方を望む人材が活躍できる場所が少なくなる。さらには、移住者の定着も期待できない。
地方経済・社会の持続可能性が低下 地方の企業活動がより停滞することで、基幹産業の衰退を招き、地域経済がさらに縮小する。

上記以外に深刻化の恐れがある社会課題例

東京圏への介護人材流出 東京圏は介護ニーズの増加率が全国で最も高いため、地方の介護人材がより流出する。
地方都市の「スポンジ化」への対応、集落機能の維持 古い空き家・空き地等が数多く発生し都市の密度が低下する(スポンジ化)ことで、生活・行政サービスや社会インフラの維持が困難になり、下記のような問題が懸念される。
・生活利便性やサービス産業の生産性が低下する
・行政サービスの非効率化が進む
・治安や居住環境が悪化する
・コミュニティの存続が危ぶまれる
・災害危険性が増大する恐れがある
差し迫る巨大災害への備え不足 東日本大震災を上回る被害が想定される南海トラフ地震が、30年以内に70%程度の確率で発生するとされている。人口減少により高齢化が進むと、高齢者は体力が低下し逃げ遅れやすいため、災害時に犠牲となる割合が多くなる。また人的資源が枯渇すると、災害後の復旧作業が滞る恐れもある。

上記のような課題を解決するため、都会から地方への人の流れを強化する政策が求められています。また、地方からの人材流出を食い止めることで、にぎわいの創出や地域のあらゆる取り組みをサポートする担い手の確保にも繋がります。

令和5年度の地方創生予算では、地方への人の流れを強化する分野において以下3つを重点的に要求しています。

1.地方大学・地域産業の創生、高校生の対流促進
2.関係人口創出・拡大のための対流促進事業
3.地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の活用促進

ここからは、それぞれの主な事業内容について解説します。

1.地方大学・地域産業の創生、高校生の対流促進

①地方大学・地域産業創生交付金等

  • 地方大学・産業創生法に則った交付金として、地域産業創生の駆動力となり特定分野に強みのある地方大学づくりを各地で進め、地域の若者の就学・就業を促進します。首長のリーダーシップの下でデジタル技術等を活用し、産業創生・雇用創出を中心とした地方創生と、地方創生に積極的な役割を果たす目的で、組織的な大学改革に一体となり取り組む地方公共団体を重点的に支援します。
  • 調査機関等が実施する調査・評価・伴走支援体制等を整備します。

②高校生の地域留学の推進のための高校魅力化支援事業
デジタル技術を活用しながら、全国から高校生が集まるような高等学校の魅力化を進めます。高校生の地域留学を促進する地方公共団体や高等学校に関して、補助金並びに民間事業者への委託により、地域留学を円滑に進めるための仕組みや体制づくり等のサポートを支援します。

③地方における若者の修学・就業等の促進に関する調査事業
地方の若者の修学・就業を推し進めるための調査を実施します。若者の修学・就業の動向について把握したり、デジタル技術を活用し若者の地域における学修を推進したりなど、施策の検討を行います。

④地方へのサテライトキャンパス設置等に関するマッチング支援事業
マッチングサイトの運用等を利用し、地方公共団体と大学等の連携を強化します。加えて、誘致を希望する地方公共団体へのコンサルティング実施や研修会開催によって、デジタル技術を活用した効果的な地域課題解決等に寄与する東京圏の大学等について、地方へのサテライトキャンパス設置を推進します。

2.関係人口創出・拡大のための対流促進事業

  • デジタル技術を活用しつつ、都市部住民と地域との中間支援を実施する民間事業者等によるモデル的な取り組みの自走化を支援します。また、官民連携協議会を基盤として、関係者間の情報交換を進めることにより優良事例の横展開を図ります。
  • 地域の内発的発展や地域活性化に貢献する、関係人口の創出・拡大に取り組む民間事業者等に対し、重点的な支援を行います。

3.地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の活用促進

  • 企業版ふるさと納税(※)の活用をより促進させるため、企業と地方公共団体のマッチング会を開催、「内閣府企業版ふるさと納税マッチング・アドバイザー」の活用、活用事例に関する広報等を実施します。
  • 企業版ふるさと納税を活用したサテライトオフィスの整備等を進めるため、事例集や手引きの作成等に取り組みます。

(※)企業版ふるさと納税とは、地方公共団体が実施する地方創生の取り組みに対し、企業が寄付を行った場合に法人関係税を税額控除する仕組みです。最大で寄付額の9割を軽減します。

企業版ふるさと納税を活用したサテライトオフィスの整備事例

次に、企業版ふるさと納税を使ったサテライトオフィス整備事例をみてみましょう。まずは、地方公共団体が整備・運営するケースの例を2つ紹介します。

地方公共団体が整備・運営するケース
〈例1〉ICT関連企業が機能移転可能なオフィス「スマートシティAiCT」の開設(福島県会津若松市)
- デジタル技術をあらゆる分野で活用し、地域の課題解決や活性化に取り組み、生活の利便性を向上させる「スマートシティ会津若松」を推進しました。
- ICT関連企業が機能移転可能な受け皿として「AiCT」を整備し、国内外の37社・200名超が従事することで、地域の新たな「仕事の場」を創出します。

〈例2〉市所有の「湯原温泉館」の改修(岡山県真庭市)
- 市所有の温泉施設を、サテライトオフィス・コワーキングスペース・会議室を有する施設へ改修し、都市部の喧騒から離れリラックスしながら仕事に専念できる環境を整備しました。
- 快適な仕事環境を形成するため、高速ネットワーク環境や高品質・高セキュリティの通信回線を整備しました。

次は、民間企業等が設置・運営し、地方公共団体が補助金等で取り組みを支援するケースです。

民間企業等が設置・運営し、補助金等で取り組みを支援するケース
〈例1〉神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスの開設支援(徳島県神山町)
- 町所有の閉鎖された元縫製工場を、NPO法人がコワーキング・スペースとして改修しました。(町がNPO法人に施設を有償貸付しています)
- 地方公共団体が改修費用を補助し、開設を支援しました。
- 14社が会員として利用しています。(令和4年1月時点)

〈例2〉民間オフィスであるトレーラーハウスの開設支援(新潟県佐渡市)
- 見晴らしの良い湖畔にトレーラーハウスを4台設置し、起業・事業拡大の拠点となるインキュベーションセンターの運営を、民間事業者が実施しました。
- 地方公共団体が整備費用を補助し、開設を支援しました。
- 首都圏に本社を持つITベンチャー企業など7社が入居しています。(令和4年1月時点)

最後に、地方公共団体が借り上げるケースをみておきましょう。

地方公共団体が借り上げるケース
〈例〉ハイテクセンターのオフィスを無償で一時貸付(北海道美唄市)
- 地方公共団体が第三セクター所有施設内のオフィスを借り上げ、市内への進出を検討している企業等に対し、お試しオフィスとして1週間程度無償での貸付を実施しました。
- 長期継続利用(入居)を希望する企業については、自己負担での賃貸契約も可能です。
- 令和2年度は27社が利用しています。

参考:企業版ふるさと納税等を活用したサテライトオフィスの整備の促進について

地方には、さまざまな事情により都心部では働けない人材が多く存在します。よって、地方にサテライトオフィスを設置することで、優秀な人材を新たに確保する機会が生まれます。その結果、これまで取り掛かれなかった地域での新規開拓なども行える可能性があるでしょう。

まとめ

地方における人口減少や高齢化などの問題は、依然として深刻な状況が続いています。そんな中で地方への人の流れが促進すれば、企業の人材確保が見込めるだけでなく、地方にとっても地域活性化や経済発展などのメリットがあります。

この記事で紹介したように、国は地方への人の流れを強化するために、あらゆる支援策の実現を図っています。都心部を拠点にしている企業は「デジタル田園都市国家構想」による支援を活用して、地方へのオフィス設置などを検討してみてはいかがでしょうか。

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